大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)4002 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人西田公一の上告趣意について。

所論第一は、単なる訴訟法違反と事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告

理由に当らない。そして原判決には所論のような違法も認められない。

所論第二は、原審において新たな証拠の取調を行つたのにかかわらず、被告人に

対し最終陳述の機会を与えなかつたと非難するのであつて、訴訟法違反の主張に帰

し刑訴四〇五条の上告理由に当らない。なお記録を調べてみると、第二回公判調書

に「最終陳述」なる記載が認められる。また控訴審では必ずしも常に被告人に最終

陳述の機会を与えることを要するものでないことは当裁判所の判例とするところで

ある(昭和二五年(あ)第六四一号同二七年二月六日大法廷判決、集六巻二号一三

四頁。昭和二五年(あ)第一四一五号同年一〇月一二日第一小法廷決定、集四巻一

〇号二〇八七頁参照)。

所論第三は、単なる訴訟法違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らな

い。(なお原判決の説明によれば、所論の控訴趣意について判断したものと認めら

れる)。

被告人の上告趣意について。

所論のうち、憲法三八条三項違反を主張する点については、第一審挙示の証拠に

各被害届が掲げられて居り補強証拠として十分であるから、所論違憲の主張は前提

を欠き、採用することはできない。その他の所論は、いずれも刑訴四〇五条の上告

理由に当らない。

その他記録を調べても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

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よつて同四〇八条、一八一条により主文のとおり判決する。

右判決は、弁護人の所論第二に関する裁判官小林俊三の意見を除き全裁判官一致

の意見である。

裁判官小林俊三の意見は、控訴審において新しい証拠調をする場合には、被告人

はこれについて常に最終の弁論をする機会を与えられなければならないというので

あつて、その理由は前記弁護人の所論第二に対する説示に引用した大法廷判決にお

いて述べたとおりである。

昭和三〇年五月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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